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英雄は歌わない

世界で一番顔が好き

存在の必要と不在の不要/人間増田貴久論


NEWS QUARTETTOツアーのマイ初日とマイ楽(という名の前楽とオーラス)が終わりました。あーーーーーNEWSが好きだなああああああ。明日もこのコンサート入りたいなああああああああ。と思いながら日常生活へとご帰還です。余談ですがオーラス翌々日から出勤時間が30分早まりました。つら。笑

さて。

前回のNEWS whiteツアーは、彼らが物語を脱ぎ捨てて初めてのツアーでした。復活コンサートじゃないし、アニバーサリーコンサートでもない。NEWSが創るエンターテインメントを楽しませるためのコンサート。個人的な印象としては、まぁなかなか好評だったかなあと。
そして今年、NEWSをとりまく環境は去年と明らかに変わって、セトリも結構な方向転換で、なんとカップリング曲ゼロ。去年はつなぎのなめらかさが巧みだったけど、今年は曲順のびっくり箱感が楽しかった。まさかLIS’Nの次Touchだと思わないじゃん。高低差で耳キーンどころか心臓ギューーーン。
たくさん考えたんだろうな、去年より前に進んでるんだな、って思えるところがたくさんあって、来年は東京以外のドームでもやってほしくて(なんせ今年アリーナ激戦過ぎたし笑)、でもそういうこと全部置いといて、もう増田さんしかみえなかった。

増田さん。

時をかける少女の話で、「俺も出してよ」って言った増田さん。変ラボの話、サバンナの話、ちょっと痩せた顔、自信満々の衣装。
生で、この目で見て改めて、ああこの人は変わりたいんだなあと思った。変わりたいって思ってるんだ、変わりたい気持ちを隠すの辞めるんだ、現状維持じゃ嫌なんだ、って思ったら、もう泣きたいくらいこの人が好きだった。私の自担が「存在の必要が欲しいです」ってカードを首からさげる日が来るなんて信じ難いけど、信じられないことにこれは現実なのだ。

 

・ニュースキャスター、エンターテイナー、ライター、スマイル、スーパーマン
NEWSが4人になって少し経ってから、『NEWS』の4文字にメンバーをあてはめたら、という話がNEWSファンの間で盛り上がってラジオでも取り上げられた。
N ニュースキャスター
E エンターテイナー
W ライター
S
小山、手越、加藤と職業(エンターテイナーが職業かは微妙だが世間への浸透度はばっちりだ)が続くのに、Sの増田さんにファンが贈れた言葉は「スマイル」「スーパーマン」だった*1。確かメールで取り上げられたのはスタイリストだったのかな?「俺だけ裏方じゃんw」と増田さんは笑っていた。
その後NEWSには□♡▽○っていう超イカしたロゴが出来て、増田さんはSの人じゃなくてWの人になって、だけどやっぱり何の人でもなかった。スタイリストタカヒサマスダではあったけど、それがほかのアイドルと一線を画すかというとそうではなくて、まぁ大体のアイドルはある程度までいったらメンバーの誰かが衣装プロデュースを担うし、すごいけど武器にできるほどって印象は正直なかった。好きだったし誇ってたけど、NやEやSには及んでいなかったと思う。でも増田さんは笑っていた。シュールなギャグで滑り倒しながら、変わらないクオリティのパフォーマンスを披露し続けてくれていた。
歌とダンスなら全然誰にも負けてない。アイドルとして足りないところなんてなかった。彼を好きになった人をがっかりさせない実力があったと、どの瞬間をとっても断言できる。


・「なのに」の人と、「だから」の人
だけど増田さんには、やっぱり何もなかった。「アイドルなのに○○」がなくっちゃ翔んでいけないこの世界で、増田さんには何の武器もなかった。「アイドルだから」なら負けてないのに、「なのに」の世界ではリングに立つことすら出来ていなかった。
それはどんな気持ちだったんだろう。私はテゴマスの、「こいつにだけは絶対負けたくねえ」と思っていそうなところが大好きだ。6人時代からずっと2人はそうだった。永遠にいたちごっこをしてるみたいな顔をしながら、本当は増田さんは負けていた。勝負が始まってすらいなかった。
小山さんや加藤さんが足掻いてもがいて泥臭く戦っているのに、増田さんのゴングは鳴らなかった。違う、鳴らせなかった。
でも彼はそれを、悔しいとか焦ってるとか、そういう素振りを一切見せなかった。ゴングを鳴らせていないのに、鳴らないだけみたいな顔をしていた。俺の戦場じゃないからグローブはめないだけだよって、そのチャンピオンベルトなんか目指してないよって、そんな顔でそこにいた。
増田さんをみながら、心の片隅で「これでいいのかな」と思っていた。でもその思考の欠片を言葉にすることは私にはできなかった。ただ戦ってないだけだからって思っている間は負けじゃない。戦ってないから勝てはしないけど、でも負けもしない。「だから」で勝負してるでしょって、「なのに」なんて要らないよって、だから平気な気がしていた。


・あの日から
増田さんは大変見栄っ張りでとってもかっこつけで弱味をみせるのが大っ嫌いだ。ほんとは全然大丈夫じゃないのに、自分相手にさえ虚勢を張ってこの4年を過ごしてきたんだろうなと思う。
それを1番痛烈に感じたのが去年の10,000字インタビューだった。2011年のあの日からを3人が誇る中、増田さん1人だけが「これでいいのかなって思っていた」と思いも寄らない心情を吐露していた。この気持ちはたくさんの想いが重なった複雑なものなのだろう。忘れられるリスクをとってでもクオリティにこだわって始動を遅らせるか、何を武器にするのか、2人の脱退をどう扱うか、トンチキ?エモーショナル?どんな曲でいく?考えなきゃいけないことが満載で、その一つ一つが迷いの理由だっただろう。だけどそのたくさんの思考の中に、「俺はこれでいいのかな」も絶対あった。「俺はこれで戦っていけるのか」って、誰にも言えずに考え続けていたはずだ。これでいいって思ってる、思えてる、だけどほんとにこれがいいのかな。「これで」じゃなくて「これが」って思えないまま、その時その時の全力を発揮しながら走ってきたのかなあって、あのインタビューを読んでそう思った。

 

・存在の必要と不在の不要
何度でもいうけど、増田さんの存在がNEWSにとってマイナスに働いたことはないと思う。彼自身も、迷いながらも「これでいい」と思いながら進んできたんじゃないかと感じている。歌唱力の面では間違いなく主力だし、衣装だって評判悪くないし、メンバーの中で取り立てて人気が低いなんてことも多分ない。増田さんがいて迷惑なことなんて何もなかった。足を引っ張ってるなんてこともなかった。いて駄目なことなんて、一つもなかった。
だからいいんだ、これでいいんだって、ファンにも自分にも一生懸命言い聞かせていたんじゃないだろうかと、ここ半年の増田さんをみていると苦しくなる。いて駄目な理由なんて一つもない。いなくならなきゃいけない理由なんて全くない。でも、本当はきっと、いなきゃいけない理由が欲しかった。
手の中にあったのは不在の不要だった。いなくなる必要なんてどこにもない。貢献してないなんてことはない。だけど、「ここにいていいよ」で満足できる人なんて、この世界じゃやっていけるわけないのだ。その程度の欲しかない人が、ここまで来れたわけがないのだ。大器晩成型だから、運命のいたずらでデビューできたようなもんだから、山下くんと錦戸くんがいるから……そう言い聞かせて生きてきて、現状維持を銘にして、そうして気づいたらメンバーが「存在の必要」を手に入れていたとき、どんな気持ちになっただろう。
「いてもいいよ」と「いなきゃ駄目だよ」を目の前に差し出されて前者を掴む人なんていない。みんな誰だって、不在の不要より存在の必要が欲しい。喉から手が出るほど欲しいのに、欲しがっちゃったら自分が自分じゃなくなるような気がしていたんじゃないかって、それを欲しがる増田貴久なんて増田貴久じゃねえんだよって、そう思っていたんじゃないだろうか。
何もないなんてことないんだよ。ファンは本当にあなたが好きだよ。あなたじゃなくっちゃ嫌。あなたでいいんじゃなくてあなたがいい。だけど、あなたに「存在の必要」が「何もない」ことも確かに一つの事実なんだ。
増田さんはまだ、欲しがることを始めたばかりだ。欲しいものはまだ全然見えなくて、掴めるかどうかもわからない。それでも、欲しいと口に出せただけで大きな大きな一歩なのだ。喉から手が出るほど欲しいものを、なりふり構わず欲しがることは、本当はとても難しい。特に増田さんにとっては、手に入れるより欲しい気持ちを表に出すことの方が高いハードルだったかもしれないとすら思う。これから先、欲しいものが見つかるのかを私は知らない。存在の必要は誰だって欲しいけど、簡単には手に入らない。それでも。

それでも、欲しがるという一歩を踏み出せただけで、増田さんは格段にかっこよくなった。去年の今頃とは見違えるほど。
これから先も、変ラボでキャラがないキャラ扱いされる度私の心臓はキリキリ痛むかもしれない。増田さんが満足できるほどの「存在の必要」なんて獲得できないかもしれない。だけど大きな一歩なんだと、QUARTETTOツアーの増田さんは一秒も目が離せないくらいかっこよかったと、世界中に向かって叫びたい。
頑張ろう、頑張れ、頑張れるよ、頑張る。

この人が好きだ。息をして、悩んで、挑んで生きていくこの人が。目の前で生きているこの人が、大好きだ。

*1:スーパーマンは増田さんのソロ曲由来