英雄は歌わない

世界で一番顔が好き

NEWSは私なのかもしれない


NEWSは私なのかもしれない。


と今年のFNS歌謡祭第一夜を見て思った。頭が沸いている。なんでなのか自分でも本当にわからないんだけど徳永英明さんと歌うテゴマスを見た後ひくほどボロボロ泣きながら、どう考えても思考がバグってるんだけどNEWSは私なのかもしれないと思った。


・わたし
私なのかもしれない、の「わたし」とは、たとえばNEWSの歌での視点の置き方や精神性の表現に関する何かの比喩ではなくて、正真正銘たった今この文章を書いている24歳独身女性の「私」である。普通に働いて普通に生きている、クリスマス2週間前にして彼氏がいない東京暮らしのOL。クリスマス2週間前にして~とかなんとなく言ってみたけど、そもそも人生で彼氏がいたことがほとんどないしクリスマスデートをしたことも1回しかない。彼氏がいない状態が私にとっての普通だから正直今別にそんなにさびしい気分でもない。

まあ要するにもてないし、もてないことに慣れているし、たぶんこのまま25歳になるしとりあえずもてない。なんでもてないのか分かるような気がする日もあるしわからないような気がする日もある。私ちょっと変だもんねって思ったり、男受けするような顔でも性格でもファッションでもないしなあって周りを見ていて思ったり、でも別にこれくらい普通じゃんとも思う。街を歩いて100人とすれ違っても、その100人の他人のうち次の日まで私を覚えている人はたぶん1人もいないだろう。だって私普通の人だから。そこらへんの道を歩いているごく普通カップルの彼女と大して何も変わらない女の子だから。
だから、なんでだろうって思う。確かに他の子と違うところもあるかもしれないけど、でも私別に普通じゃん。これくらいなら別にいいじゃん。ちょっと普通じゃないけど、でも所詮「ちょっと」だ。これが私だから、私普通じゃなくていいし恋愛なんて要らないから!って胸を張れるほどの特別さなんて何も持っていなくて、でも周りのみんなとの些末な差異を投げ捨てたくもなくて、どうすればいいのかはもとよりどうしたいのかさえよく分からない。

 

うるせーばーーーーーか!ってよく思う。

「そういうとこ治せば彼氏できるんじゃないの~」って言われるたび、「こうしたら彼氏できるんじゃない?」って言われる度思う。

ねえ私このままで彼氏ほしいんだけど、今のままで彼氏ほしいんだけど、それってそんなにわがまま?このままでいい、このままがいい。普通の域を飛び出せない程度にちょっと周りと違うだけの凡人なんだから、このままで愛されたいって思ったっていいじゃん、だって私、私のこと結構好き。いいじゃん変なピアスしてたって。いいじゃん1人で映画観たって。いいじゃんセミとカマキリ素手で掴めたって。

化粧を全くしてないわけでも信じられないくらい太ってるわけでも特別不細工なわけでもなく、ただほんの少し違うねって、でもこんなの個性にもなりきれない少しの差異でしかないでしょ、こんなの大層なアイデンティティになんかなんないでしょ、じゃあいいじゃん。このままで愛されたい、むしろこれを愛されたいって、別に大したわがままじゃないでしょ。

でもきっとそうじゃない。だって現実に私は誰にも選ばれずに生きている。友達がいないわけじゃなく、対人能力に極端な問題があるわけでもなく、男女問わずそれなりにいろんな人と普通に仲良くできてるつもりで、でも誰1人として私を選ばない。誰も私を愛さない。それはつまりそういうことで、きっと私は何かが決定的に駄目で、だからなんかよく分かんないけど駄目なんだと思う。

高校~大学の7年間でついぞまともに恋愛できないまま社会に出てしまうともう全然だめで、勝手にどんどん卑屈になって、駄目だったことを理由に自分を駄目だと思い始めて、自分を駄目だと思っていることが理由でさらに恋愛できなくなっていく。

 

こうして段々なにがなんだか分からなくなって、このままがいい、どうすればいいのか教えてほしい、どうにかしたい、このままでいたい、もう知らない、がぐちゃぐちゃに混ざってうるせーばーーーーーーーーか!!となるわけである。

何かをどこかを「治し」たら愛してもらえるんだとして、このままでいたら愛される確率がその100分の1だとして、それでもこのままでいてやるからなばーーか!というメンタルと、頼むからどこが駄目なのか教えてくれよというメンタルの間を高速反復横跳びする毎日。モテなくてモテたくてモテたくない。そう、つまり私はシンプルに迷走している。ありがちで単純な迷走を。

 

・手遅れ、閉塞感、そして迷走
もう少し丁寧に紐解くと、私の感情は大きく3つに分けられる。

①漠然とした不安
前項でもたらたら長ったらしく述べたが、要するに私は私という人間の仕上がりが正直嫌いではない。むしろ結構好きである。好きだし、それほど問題があるとも正直思っていない。しかし現実を見るとどうやら何か問題があるらしく、にもかかわらずその問題が何なのか考えてもわからない。
というか正直こんな悩みは勝てば官軍としか言いようがなくて、負けてる間は一生悩み続ける以外できることがない。そしてなぜ負けているのかの明確な答えなど決してどこにも落ちていない。だから苦しい。存在しない答えを探しているのだから見つかるわけがないのに、答えが出ないことで何もかもが駄目な気がしてきたり何も駄目ではないとも思ったり、とにかく実体のない何かと戦い続けているので何に悩んでいるのかもわからず精神が疲弊する。

②手遅れ感
こうして、「駄目であることを理由に自分を駄目だと思い、駄目だと思っていることが理由でますます駄目な振る舞いしかできなくなる」という駄目スパイラルに撃沈する。最初の頃にきちんと恋愛できなかった人間は、その後れを取り戻すことは一生できないのではないか。「あの頃、できなかった」という挫折がもたらしてきた悪影響を今からどうやって解消できるだろうか。

③閉塞感
この負のスパイラルからどうすれば抜け出せるのか分からない。というか抜け出すには恋愛するしかないんだけど、恋愛するためにはここから抜け出さないといけない。トリックアートの中にでも迷い込んだような気分である。にっちもさっちもいかなくなって、さてどうしようもう知らないと迷路の中で座り込んでいる。リスタートするためにはゴールしなくてはいけないのに、ここは詰んでいるのでゴールするためにはリスタートしなくてはいけない。右の壁に手を付けて歩いても左の壁に手を付けて歩いても結局同じところに帰ってくるだけなのだ。こうしていつの間にか歩く気力もなくなっている。

 

・君のそれと僕のこれ
で、だ。
昨夜のNEWSICALの意味不明な衣装を見ながら、ケミストリーとのコラボを見ながら、レイニーブルーを聴きながら、なんかもうどうすればいいんだろうなあとしんみり思った。NEWS、私が世界で一番好きなアイドルグループ。彼らには、別にこれといった欠点があるわけではない(むしろ世界一)。しいて言うなら売上が弱い。なぜ売上が弱いのか。後押しが弱いからだ。なぜ後押しが弱いのか。売上が弱いからだ。

人気のあるセンターと伸びしろのある他メンバー。前陣が戦ううちに後衛が育ってグループそのものが大きくなっていく、という理想的なルートを、彼らは歩むことができなかった。なぜなら、後衛たちが育ちきる前に前衛たちは出て行ったから。

NEWSには燃料ならある。一生懸命探して増やして蓄えてきた燃料がちゃんとある。たぶん着火剤も結構ある。でも、火がない。火打石がない。プールいっぱいにガソリンを満たしたって、火をつけなければ何も燃えない。


NEWSを見ていると、この人たちどうしたいんだろうって時々思う。

彼らは間違いなく頑張っているし、毎年毎月毎日きっと進歩しているし、努力しているし、少しずつ前に進んでもいる。そして今、NEWSはNEWSのこともNEWSのファンのことも結構好きだと思う。

でも彼らは官軍ではない。なぜなら勝っていないから。そして覇道を歩めてもいない。別に何も間違えてはいないけど、負けてないけど、でも勝ってない。今が好きで、今を謳歌していて、でもきっとここはまだ全然彼らが目指す高みではない。

どうしてここまで尖ったことをするんだろうと時折思う。冗談めかして「ちょwお洒落止めて―www」と言いながら、いくらなんでもここまで一般受けを捨てなくてもいいんじゃないかとも思ったりする。来々シーズンのファッションショーを席巻しようが、ジャケット1着50万するようなブランドが取り入れるテイストだろうが、テレビの前の私たちには正直そんなのわからない。そんなのきっと彼らだってわかっていて、それでもこれを選ぶ理由はなんだろう。
本当にハイセンスな人にしかわからない、その感性を持つ者にしかわからない「お洒落」がアイドルにとって必ずしも清海ではないことくらいNEWSは、そして増田さんは流石に分かるだろう。それでもそうする理由はなんだろう。自分を貫きたいからだろうか。それが俺達の個性だからだろうか。そうじゃない気がして、勝手な想像だけど、自分勝手な押し付けだけど、だって正解がどこにもないからなんじゃないかってちょっと思ってしまった。

きっとお洒落なマッチョスーツ、サンタに掛けたのか「参」が躍る前掛け。きっとずっと探している、ガソリンいっぱいのプールに着火するための火打石。
ああもしかしてこのツリーは、この歌は、私が耳につける豆電球や三角定規なんだろうか。その不思議なボレロは、私のかたくなさやかわいげのなさではないだろうか。

跳ねられないままついに全員が30代になった。あと一押しが足りなくて、そのあと一押しがないがために最後の一押しを貰えない。手遅れ感と閉塞感を、なんだかずっと感じている。そうやって、でも私と違ってうるせーばーーーーか!なんて彼らは言えなくて、光明をずっと探し続けているのかもしれない。可燃性の闘志をひたひたに満たして、火打石の閃光を探している。
なんだか勝手に、本当に勝手にわかる気がした。全然違うけど、でも、売れないことが理由で売れなくて、売れるために売れてなきゃいけないってことだけはまあまあ的を射ている気がして、なんとなく他人事とは思えない夜だった。


私に彼氏ができるのが先か、NEWSが売れるのが先か。漠然とした不安も手遅れ感も閉塞感も、官軍になってぶっ飛ばしたいなあ。うるせーばーーーーーーーか!